紙カップのままでは、あのコーナーを越えられない
スターバックスや地元のロースタリーで淹れたてのコーヒーをテイクアウトし、景色の良い岬まで走ってから飲む。
これは最高の贅沢ですが、バイク乗りにとって最大の課題は振動と漏れです。
お店で提供される通常の紙カップとプラスチックの蓋では、どんなに慎重に走っても、最初の交差点を曲がる頃にはタンクバッグの中が大惨事になっているでしょう。
バイクでコーヒーを運ぶTOGO(持ち帰り)スタイルには、信頼できるギアと固定術が不可欠です。
私が愛用しているのは、完全密閉ができるスクリューキャップ式のタンブラー。
飲み口にパッキンが付いているだけの簡易的なものではなく、水筒のようにねじ込んで閉めるタイプを選びます。
スタンレーやキントーなどの保温性に優れたボトルなら、淹れたての熱さをキープできるだけでなく、万が一転倒しても中身が漏れることはありません。
カフェで注文する際は、このマイボトルを差し出し、これに入れてくださいと伝えます。
多くの店で快く対応してくれますし、カップ値引きを受けられることもあるので一石二鳥です。
店員さんがボトルに注いでくれるその所作を見るのも、また楽しい待ち時間の一つです。
サイドバッグの隙間こそが、最強のドリンクホルダー
密閉ボトルを手に入れたら、次は積載方法です。
ハンドルバーに付けるドリンクホルダーも便利ですが、エンジンの振動や路面のギャップをもろに受けてしまうため、炭酸飲料のように中身がシェイクされてしまうことがあります。
私が推奨するのは、サドルバッグやタンクバッグの中身をパズルのように調整し、ボトルを埋め込む技術です。
レインウェアや防寒着、タオルなどの柔らかい荷物の間に、ボトルを縦に差し込みます。
こうすると、布製品が緩衝材の役割を果たし、振動を吸収してくれるのです。
まるでテトリスの最後のピースをはめるように、ボトルが動かないよう周囲を隙間なく埋めるのがコツです。
これなら、多少のワインディングを走っても、ボトルの中でコーヒーが暴れることなく、静かな状態で目的地まで運ぶことができます。
バッグを開けた時、まだ温かいボトルを取り出す瞬間の安心感。
それは、これから始まる海辺のコーヒータイムが約束された証でもあります。
どこでもカフェになる自由を手に入れる
目的地に到着したら、エンジンを切り、お気に入りの場所に腰を下ろします。
ここで取り出すのが、苦労して運んできたマイボトルです。
キャップを開けた瞬間に立ち上る湯気と香りは、店内で飲む時以上に濃厚に感じられます。
紙カップの味気なさとは違い、使い込んだ金属や塗装の質感を感じながら飲む一杯は、格別の味わいがあります。
このスタイルの良さは、場所を選ばないこと。
ベンチがない岩場でも、ガードレールに寄りかかりながらでも、自分のボトル一本あればそこがオープンカフェになります。
飲みきれなければ、またキャップを閉めて次のスポットへ移動すればいいだけ。
ゴミが出ないのも、自然を愛するライダーにとっては重要なポイントです。
こぼれないという安心感は、行動範囲を広げ、まだ見ぬ絶景の中でコーヒーを飲むという新しい楽しみを与えてくれます。
たかがタンブラー、されどタンブラー。
これは単なる容器ではなく、自由を運ぶための重要なライディングギアなのです。
