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一眼レフ風にバイクを撮るテクニック

カメラの機材

F値が作り出す「主役」と「脇役」の関係

最近のスマートフォンのカメラ性能は目を見張るものがありますが、ただシャッターを切るだけでは、背景の海も手前のバイクもすべてにピントが合った、平坦な記録写真になりがちかもしれません。

一眼レフで撮ったような、空気感のある一枚に仕上げるための最大の鍵は、iPhoneのポートレートモードなどに搭載されているF値(被写界深度)の調整機能です。

これは、レンズの絞りを電子的にシミュレーションする機能ですが、この数値を小さく設定すればするほど、背景が大きくボケて、ピントを合わせた愛車だけが浮き上がって見えます。

私が朝の海沿いで撮影するときは、まずF値を一番低い状態まで下げます。

すると、背景の波や水平線が柔らかく溶け込み、バイクのタンクの曲線やエンブレムの輝きだけが鋭く描写されるのです。

そこから少しずつF値を上げていき、背景の海が「海である」と分かるギリギリのラインを探る。

すべてを見せないことで、見る人の想像力を掻き立てるのです。

背景を整理し、ノイズを消すことで、愛車という主役を明確にする。

この引き算の美学こそが、スマホ写真を作品へと昇華させる第一歩です。

グリッド線で整える水平線のルール

写真の構図において、絶対に外してはいけない基本ルールがあります。

それは水平垂直をしっかりと出すことです。

特に海を背景にする場合、水平線が少しでも傾いていると、見ている側は無意識に不安感や違和感を覚えてしまいます。

どれほど良いロケーションで、素晴らしい光が差していても、傾いた水平線はその写真の品格を損なってしまうのです。

そこで活用してほしいのが、カメラ設定で表示できるグリッド線です。

画面を縦横に分割するこの格子状のラインをガイドにして、水平線をピタリと合わせてみてください。

このグリッド線は「三分割法」という構図テクニックにも役立ちます。

画面を縦横三等分した交点の位置に、バイクのヘッドライトや一番見せたいパーツを配置するのです。

バイクをど真ん中に置く「日の丸構図」も悪くはありませんが、あえて左右どちらかに寄せることで、空いたスペースに海の広がりや空の青さを取り込めます。

この「余白」が、写真に物語を与えます。

カフェでコーヒーを淹れるとき、カップの縁ギリギリまで注がずに余白を残すのと同じように、写真にも心地よい空間を持たせることで、朝の清々しい空気感を表現することができるのです。

露出補正で「黒」の質感をコントロールする

バイクという被写体は、タイヤやエンジン、フレームなど、黒いパーツが多く使われています。

そのため、カメラ任せのオート設定で撮ると、カメラが「暗すぎる」と判断して勝手に明るく補正してしまい、全体的に白っぽく締まりのない写真になることがよくあります。

逆に、逆光のシーンではバイクが真っ黒なシルエットになってしまうことも。

ここで重要になるのが、撮影時に画面をタップして太陽マークを上下させる「露出補正」です。

私が好んで使うのは、あえて露出を少し下げる(暗くする)テクニック。

露出を下げることで、空の青色がより深く鮮やかになり、雲の立体感が増します。

そして何より、バイクの黒いパーツがしっかりと「黒」として沈み込み、メッキパーツの光沢が一層際立つのです。

黒が黒として表現されている写真は、全体に重厚感と高級感が生まれます。

撮影後にアプリで加工することも可能ですが、現場の光を見極め、その場で露出を決めるプロセスそのものが、写真撮影の楽しみでもあります。

光と影を操り、自分の愛車が一番美しく見える明るさを探す時間は、愛車との対話の時間でもあるのです。